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zoom RSS 野沢 尚 「呼人」    〜後半 親子の再会、後書き〜

<<   作成日時 : 2009/04/02 23:38   >>

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例のよって著書の内容説明はしていないので読んだ方でないと 何のことやら??になるだろう。12歳で成長が止まってしまった「呼人」が現れた意味が少し分るか、分らないか。
アミ(母親)と呼人の会話を取り上げているが、この中にその現れた意味があるようなので。
医学的なことも載せられていたので興味のある方にもいいだろう。


<呼人との再会>
分っているわね。貴方は人類最後の1人になるの。汚され壊されていく地球で唯一残される純粋なるもの。焦土から芽を伸ばして咲かせる花を貴方は見なければ成らない。
こんな事考えた事無い?

世界中に張り巡らされたシステムは、もう入り組んで解きたくても解けない。人間と人間の関係は複雑すぎて窒息しそうになっている。どうしたらリセットできるのか。壊すしかないんじゃないか。どうせ壊れるなら早く壊してあげたかった。
地球に障害物は無くなる。国境も壊れ、地球は何処まで行っても見渡す限りの地平線になる。貴方は人類最後の1人であり、人類最初の1人になるの。あなたに続く人間がどうやって誕生するのか、人類の再生の歴史を微生物の始まりから見守る事になる。人類の過ちの歴史を良く知っているあなたならきっといい地球に作り直せると思う。人間達に芽生える愚かな欲望に目を凝らして彼らを正しいほうこうにが導くのがあなたの役割よ。

つまりあんたは自分から進んでワタルの注射を受け入れたんだね。自分の体に宿る命が元気に生まれて年相応にすくすく育って、立つ事を覚え、歩く事を覚え、自転車にも乗れるようになって、小学校の卒業式で「仰げば尊し」を歌って同級生に恋をして、結婚して。そういう我が子の未来をあんたは意図も簡単に捨てて妊娠中におぞましい薬を体に注ぎ込んだんだ。実験動物に過ぎなかったんだ。

____ラディカル---急進的、過激な、徹底的、根本的。
         <--->コンサバティブ、保守的な。

////生きている間の保障と生きるための保障を得るために領土を決め、弾かれそうになる者と拡大しようとするものとの間に争いが生じ、傍らに植えられていた作物も、そこをねぐらにしていた動物も、それらを育ててきた自然も眼中に写らず、その過ちを起こす人間が勝手な思い込みで世界を壊し、生き残した呼人に争いの無い世界の誕生を見守らせる?とことん人間のエゴだ。////

「永遠に生き続ける命なんてそんなに立派なものか。当人にとってどんなにつらいものか分らないのか。ボクは遠ざかっていく皆をただ見送るしかない、人類最後の1人として破壊された町に立てだと?瓦礫だらけでそこらに転がっている死体は腐り果てて、舞い上がる煙で太陽は遮られている。そこに1人で立てというのか?

「ボクはあんたにどうして逢いたかったか分かる?」「あんたを救う為だよ。母親の罪を曝け出して救う為にここまで来たんだ。」

僕を抱きしめて囁きかける。ぼくの冷たい頬にアミの頬が押し付けられ体温が伝わってくる。
「あなたを宿したのは18歳だった。革命化には程遠い子供だった。生まれてくる子供には何時までも生き続けて欲しい。そんな風にしか考えられない愚かな母親だった。子供が永遠を生き続ける事で味わう孤独なんて思いもよらなかった。」

成長ホルモンって言うのは脳下垂体前葉の好酸性細胞から分泌されるホルモンで、特に骨の成長を早めて腕や足を発達させる役目がある。間脳視床下部で作られる成長ホルモン放出因子によって刺激され分泌されるものなんだ。
成長には栄養が不可欠だけど、幾ら沢山食べて栄養をとっても、それが血となり肉とならなきゃ成長は出来ない。栄養を利用して骨や内臓を成長させるのがホルモンの役割なんだよ。
肝臓にまず作用して、成長因子のソマトメジンをさかんに合成させて、これが骨や内臓に働きかけて細胞を増殖させる骨の先端は軟骨になっていてソフトメジンはそこにカルシウムとリン酸を沈着させて骨を作り、肉体を成長させる仕組みだ。」 

風邪 ウイルスに感染した細胞を最前線で見つけてやっつけるのがNK細胞。この時点で症状は出ない。最前線をウイルスに突破されて免疫が働き始めてから。がん細胞にも対応。1日に6,000個も作られているがん細胞の芽を朝から晩まで潰して歩く。年を取るにつれ多くなる。しかも精神状態と関係していて、気分が暗く憂鬱になったり強いストレスを加えられると弱くなる。
いくら年をとっても毎日笑わせておくとNK細胞が強くなって長生きする。

「呼人は性ホルモンが分泌される12歳を境に成長ホルモンの抑制が始まり、身長の伸びが止まり、変声期を迎えることも無かった。何時までも子ども扱いされて辛い事もあった労使ストレスも溜まったかも知れない。けど精神の源は決して汚れなかった。子供の明るさを失わなかった。毎日げらげら笑える人間だった。いつも冒険心があって新しいものに立ち向かう超先進のある子供は強い生命力を生む。成長ホルモンの抑制はNK細胞の活性化にも繋がり老化遺伝子が抑えられる。恐らく呼人はガンにかかることもないだろう。これがどうやら呼人の場合における不老不死のメカニズムらしい。」

////野沢氏の作品は知らないうちに目にしていた。
ドラマ「恋人よ」__佐藤浩一、鈴木保奈美、岸谷五郎、鈴木京香
嵌ってしまったのは__財前直美、中村透、大杉蓮らの「眠れない夜を抱いて」 テレビ向けの脚本も良かった。
単発では「最後の砦」__その時代の社会と同居する暗部、そこに係わる人々がそれらの世界を知らない我々に教えてくれる。

作者の作品を読んでいくと、警察、北朝鮮についての知識が詳しく、その社会の中にどんな人間も持ち合わせている純粋な部分が何処かに織り込まれている。

何故、野沢氏が死を選んだのか分からない。推測としては、この呼人の本文中にも在るように、世界のシステムに身動きが取れなくなり人との関係が複雑になり過ぎ、リセットするには壊すしかない。どうせなら早く。__そう感じていたのか。

「永遠の身体」__銀河鉄道999 のテーマでもあったが、人も物も、一度生まれてしまった以上、後は死に向かって歩くだけ。人で言えば成長の終った時点から徐々に老化。モノで言えば、時間を重ねて劣化。
この世が「諸行無常」であるからこそ悩み、苦しみもあろうが、それらを抜けてから見る、感じる喜び。年を経てきたからこそ得られる感情、感覚。
そんな事を考えるいい題材となる本である。

加えて、自分は何を残すのか。突き詰めていった先の「言葉」  辿り着いて納得し、与えられたと感じるものを掴む事、その時間、機会を作り出さなければならない。////



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