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この著書ではいきなり、オウムの麻原の育ってきた過去から始まる。 ////何らかの事件、犯罪等に関る人間には、本人が受け止められずにいるが、どこかに蓄積され、容量を超えたときに自信も知らずに表面化してしまう事があるが、あの麻原を形作った一要因が藤原氏の手法で解き表されている。 そう考えてみた時に思い浮かんだのは、建築偽装を行った者(宮城出身)、鈴木宗雄(北海道)。彼らにも麻原にも与えられてしまった、’郷土に住むゆえの仕打ち’とでも言うのか、そのようなものがあったのではないかと推測する。//// <静かな朝の証言> 藤原さんはオウムの麻原が育った街を訪れ(八代)彼の兄とコンタクトを取り、自らの疑問を聞いてみた。弟智津夫さんの目の疾病は水俣の水銀の制ではないのか、と。すると兄は「良くそこに気づいたな。」兄弟の中でも魚介類が好きで、食欲旺盛で釣って来た魚、シャコを一番余計に食べていた。そのうち手の先がちょっとしびれると言い出した。水俣病患者として役所に申請したが却下された。八代は遠い。他にも申請した人がいたがそんなことをするものは’アカ’と風評が広まる。家族まで肩身の狭い思いをしなければならない。だからそれ以上戦わなかった。 もともと智津夫は自分の不遇な魂を救済する為に宗教に傾いた。立ち上げる時八代に帰り、兄に「教祖になって欲しい」と頼んだ。 早川という男が教団に入ってきて、智津夫の態度が急激に変わった。 松本智津夫の兄が他界。もう一度熊本県庁の水俣病対策課と接触。「八代に於いて水俣病患者として申請しながら未確定となった人は要るかどうか。」「いる。」「何名?」「51名」「申請し認定患者がいたかどうか」「います。」「相当数いた。という認識で宜しいですね。」「そういう認識で宜しいかと思います。」 この相当数から漏れ、未確定51名の中に松本智津夫の名が列記されている可能性は少なくない。 <火に還るものたち> 死体を焼く仕事。不可触民の中でも最下層。先祖代々何百年も続いている。カースト制が世襲制度を。世襲を守る限り乞食でも食いっぱぐれない。 生まれながら職能により住み分ける事で厳しい自然風土を生きるギリギリの権利。残酷だが反面、救済の制度。 例えば半陰陽(ビジュラ)不遇の身でこの世に生れ落ちたとしても疎外されたりせず、芸人として結婚式のお囃子ヲ務める。よって、他の世襲に口を出す、ましてや他の職能を侵す事は大変なタブー。 毎日川の火葬場に行った。一人の職人が聞いてきた「何故毎日ここへ来るのか?」「キレイだから。」清潔という意味ではなく、何日も見続けると自分の気持ちが癒される。「人の焼けるのが」 死体を焼く火が燃え尽きる静謐なひと時、遠くからラッパにのって踊る人の群れ。結婚式の行列が近付き、すぐ横を通る。目の前で燃え尽きる一つの人生。今馬鹿騒ぎの連中もあの火の中に還って行く。 ////印は冠婚葬祭を行なう場の仕切りが無い。全てそのまま見渡せる場で、それぞれが行なわれている。そのままの姿で。//// <黄泉の犬> 川の中州 犬が何か白い大きなものを取り囲み食べていた。ファインダーを覗き近づいて行くと、紛れも無くはっきりと人間の肢体が写り込んでいた。何処かで水葬された死体。 水に流された死体は奇妙なもので、生きた人間のようにそれぞれが業を背負っている。水に浮かぶ死体、浮かばない死体。流され一旦川底に触れたものは浮き上がる。そこに触れなかったものは浮かばない。水の中を潜ったまま漂いそのまま流れていく。__「浮かばれない」という言葉はここから? 浮かび上がった直後の死体は仏のように綺麗。おそらくその人の生涯の中で最も清楚な肌の色と表情をしているのではないか。水によって煩悩が洗い流され人間は一瞬仏になる。その後はただの物体。酸性の腐敗から鼻を突くアルカリ性腐敗が始まる。体全体が鬱血した様にぶくぶく太り始め、仏の顔も7日後には餓鬼のようになる。人間の心に善と悪が拮抗していて死体はこの7日間の間に二つの心を再現しているかのよう。そして興味深いのは、水に浮いた死体が女なら仰向けに、男はうつ伏せになる。 日本では”地球より重い”と言われる人の命が犬の餌食に。 ”一瞬何故か溜飲の下がる思いが私の中に走った”何から解放されたのか。人間はそんなに後生大事なものじゃない。その辺の動物や昆虫と変わらない。 http://www.fujiwarashinya.com copylight sato/side-car All rights reserved. 黄泉の犬
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